PISA2025で、日本の点数は3分野とも下がりました。
それでも、OECD加盟国の中でとった順位は、三つとも1位でした。
要点:経済協力開発機構(OECD)は2026年9月8日、15歳を対象にした国際学力調査「PISA2025」の結果を公表しました。日本の平均得点は科学的コンピテンシー538点・数学的リテラシー525点・読解力503点で、世界91の国・地域中それぞれ5位・5位・4位。前回2022年からいずれも得点は下がったものの、OECD加盟38か国の中では調査開始以来はじめて3分野すべてで1位となりました。一方で、基礎的な習熟度に届かない低得点層の割合は3分野とも増えています。
今日のねらいは一つです。2026年9月8日にOECD(経済協力開発機構)が公表した「PISA2025」の結果を、数字の裏側まで含めて確かめることです。日本の15歳の生徒は、科学的コンピテンシー・数学的リテラシー・読解力の3分野で、世界91の国・地域のうちそれぞれ5位・5位・4位という順位でした。
ここ、大事です。順位だけを聞くと「まずまず」という印象で終わってしまうかもしれませんが、この数字にはもう一つの読み方があります。今日は、その両方を並べて見ていきます。
まず、板書するとこうなります
PISA(Programme for International Student Assessment)は、OECDが2000年から原則3年ごとに実施している、15歳の生徒を対象にした国際的な学習到達度調査です。2025年調査には91の国・地域から76万人以上が参加しました。今回の日本の結果を、表にまとめます。
| 分野 | 2025年の得点 | 順位(全91か国・地域) | 2022年からの変化 | OECD平均との差 |
|---|---|---|---|---|
| 科学的コンピテンシー | 538点 | 5位 | -9点 | +56点 |
| 数学的リテラシー | 525点 | 5位 | -11点 | +62点 |
| 読解力 | 503点 | 4位 | -13点 | +42点 |
ですから、事実としてはっきりしているのはここまでです。得点は3分野ともに下がった。それでもOECD平均は、56点から62点という大きな差で上回っている。まずこの二つを、切り離さずに覚えておいてください。
順位で見ると、話は変わります
一度戻ります。「世界91の国・地域中5位・5位・4位」という数字は、シンガポールや香港、マカオなど、OECDに加盟していない国・地域も含めた順位です。同じデータを、日本と同じOECD加盟国(38か国)だけに絞り込んで並べ直すと、景色が変わります。教育業界ニュース「リシード」によれば、日本は今回、科学的コンピテンシー・数学的リテラシー・読解力の3分野すべてで、OECD加盟国中1位となりました。しかもこれは、PISAの調査が始まって以来はじめてのことだと報じられています。得点は下がったのに、比べる相手(全91か国・地域か、OECD加盟38か国か)を変えると、順位は上がって見える。同じ数字が、二つの違う話をしているわけです。
喜んでばかりもいられません
板書を続けます。PISAでは、生活に必要な基礎的な力にまだ届いていない生徒を「低得点層」として、分野ごとに割合で数えています。日本の低得点層の割合は、読解力が18.6%(2022年比+4.8ポイント)、数学的リテラシーが16.1%(同+4.1ポイント)、科学的コンピテンシーが11.3%(同+3.3ポイント)で、3分野とも増えました。平均点や順位という一つの数字にまとめてしまうと、この「届いていない生徒が増えている」という事実は見えにくくなります。順位の話と、低得点層の話は、別の場所で起きている変化として、両方とも覚えておく必要があります。
原因は、まだはっきりしていません
では、なぜ点数と低得点層の割合が同時に動いたのでしょうか。ここは、正直なところから始めます。
文部科学省の担当者は、はっきりした原因は言えないとしたうえで、読書量や学習時間の減少、スマートフォンやSNS・ゲームなどに充てる時間の増加が影響した可能性があるとの見方を示しています。
「影響した可能性がある」という言い方に、注意して読む価値があります。これは統計的に証明された因果関係ではなく、担当者による見立てです。生活時間の使い方とテストの点数を結びつけたくなる気持ちはよくわかりますが、両者の関係を確かめるには、生活時間の変化そのものを追った別の調査が必要になります。ですから、ここでは「可能性の一つ」として紹介するにとどめます。
公平さでも、評価されています
もう一つ、覚えておいてよい数字があります。PISAは、学力の高さと、家庭の経済状況などによる差の小ささ(公平性)を、あわせて測っています。日本は、科学的コンピテンシーの成績のばらつきのうち、社会経済的な背景で説明できる割合が10%未満で、包摂性(一定の水準に達している生徒の割合)も75%を超えました。学力の高さと社会経済的な公平性を両立できている7つの教育システムの一つに、日本が含まれているということです。
新しく測られた力もあります
今回のPISA2025では、これまでの3分野に加えて「コンピュータ上の問題解決能力(Computational Problem Solving)」という新しい領域が、初めて評価の対象になりました。日本の得点は557点で、世界91の国・地域の中で4位でした。まだ1回目の調査なので、他の3分野のように2022年と比べることはできません。この新しい物差しが今後どう育っていくのかも、あわせて見ていく価値がありそうです。
分からなかったこと
正直に書いておきたいことが二つあります。一つは、今回発表されたのはPISA2025の結果のうち第1弾(3分野の平均得点・順位など)だけで、都道府県別のデータや、生徒の生活習慣に関する詳しい質問調査の分析は、今後の発表を待つ必要があることです。もう一つは、先ほど紹介した点数低下の理由です。読書量や学習時間、スマートフォンの利用時間との関係は、あくまで担当者の見方であって、この記事があたった資料の範囲では、原因を一つに絞り込む根拠までは確認できませんでした。
復習の1問
PISA2025で、日本の点数は3分野とも下がったのに、OECD加盟国の中の順位は上がりましたか、それとも下がりましたか。
答えは、下がっていません。それどころか、OECD加盟38か国の中では、科学・数学・読解の3分野すべてで1位という、調査開始以来はじめての結果でした。点数が下がることと、順位が上がって見えることは、同時に起こり得ます。同じ物差しで測っていても、比べる相手が変われば、見える景色は変わってくる。今回いちばん覚えておきたいのは、この一点だったと思います。
編集責任者:Tatsuki Morohashi(発行人・運営者情報) / 最終更新:2026.09.09
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